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SAP FI(財務会計)トレーニングコース

本コースでは、SAPのFI(財務会計)の基本的な概念・操作・カスタマイズを体系的に学習していきます。コンテンツは随時アップデートしていくのでお待ちください!

1. 導入編

2. 組織設定

3. マスタ・カスタマイズ設定(GL)

勘定コード

  • 勘定コード表の作成、勘定コードマスタとは
  • 勘定コードマスタとは(会社コード単位、勘定コード表単位)
  • 勘定コードの作成、照会、削除
  • 勘定コードタイプ(BS、PL、原価)
  • 勘定コードグループの設定(通貨必須などの設定をここで管理できる)

会計年度・会計期間の設定

  • 会計年度バリアント→会社コードに割り当てる
  • 会計期間バリアント
  • 会計期間のオープン・クローズ

伝票

  • FI伝票の構造(項目)を理解しよう
  • 項目ステータスバリアント・項目ステータスグループ
  • 伝票タイプと番号範囲を定義しよう
  • 伝票変更ルール
  • 転記キー

消費税

  • 消費税勘定の設定(要調査)
  • 税コードの定義
  • 税カテゴリの定義

通貨

  • 伝票通貨、会社コード通貨

財務諸表

  • 財務省表バージョン

外貨評価

  • 換算レートマスタの設定

4. オペレーション(GL)編

  • GL伝票を転記しよう
  • GL勘定消込伝票を転記しよう
  • 振替伝票を転記しよう
  • 伝票を変更してみよう
  • 反対仕訳伝票を転記しよう(伝票取り消し)
  • 未転記伝票、下書き伝票を転記しよう
  • ワークフローによる、転記承認のプロセスを設定しよう
  • 見越転記、繰延転記の設定をしよう
  • 外貨評価のためのカスタマイズ(為替レート、差損益勘定)を確認しよう
  • 外貨評価を実施しよう
  • 決算レポート確認(残高試算表、勘定別残高確認)
  • 会社間振替

財務会計とは?わかりやすく解説します!

SAP Wisdomの学習コースにアクセスいただき、ありがとうございます。

SAP Wisdomでは、SAP初心者・初学者の人でも読みやすいように、
わかりやすい言葉で丁寧に説明していきます。

この記事では、財務会計の目的について解説していきます。

これからSAP、特に財務会計(FI)領域のコンサルタントを目指す人にとっては必須の知識となります。

ぜひ最後まで読んで、財務会計についての理解を深めてもらえればと思います。

財務会計とは?

まず「財務会計」という言葉の定義を記載します。

財務会計とは、会計取引を正しく記録・管理し、企業外部の利害関係者(ステークホルダー)へ、企業の財政状態と経営成績を開示することです。

なんだか堅苦しい説明で、これだけではよくわからないですね。

ここでは「会計取引を正しく記録・管理」「利害関係者へ財政状態と経営成績を開示する」のふたつに分けて、順番に説明していきたいと思います。

会計取引の記録・管理

会社では「モノを作る・売る・買う」、「お金をもらう・支払う」など、さまざまな取引が発生します。

その中でも、会社のお金に関わる取引のことを、会計取引といいます。

例えば、毎月25日に従業員に給料を払ったり、モノを買った会社に対して代金を支払ったりすることも、会計取引の一例です。

これらの会計取引は、実際に取引が起こった際に、決められたルールに沿って記録する必要があります。このルールに沿って記録されるものを、会計仕訳と呼びます。

会計仕訳をきちんと記録・管理しておかないと、

  • 毎月25日に支払われるはずの給料が支払われていない
  • 今年の売上や利益金額が計算できず、税金をいくら支払えば良いのかわからない
  • 発注先に対して、いつまでにいくら支払うべきかわからず、支払いが遅れてしまう

など、業務に支障が出てしまいます。

みなさんが働いている会社では、上のようなトラブルはほとんど聞いたことがないと思います。
当たり前のように思うかもしれませんが、会計取引が正しく管理されているおかげで、円滑に業務が回っているといえるでしょう。

利害関係者へ、財政状態と経営成績を開示

企業は年に1回、財政状態(どの程度、お金を持っているか)と、経営成績(1年間でどのくらい儲かったのか)を開示する義務があります。

なぜこのような義務があるかというと、これらの成績が、投資家がその会社の株式を買うかどうかの判断材料になるからです(これらの義務は会社法によって規定されています)。

これらの成績を開示する書類をまとめて決算書類といい、財政状態を表す貸借対照表(B/S)、経営成績を表す損益計算書(P/L)などが含まれます。

これらの決算書類を、期限までに正しく作成し、報告することが、財務会計における大きな目的となっているのです。

まとめ

いかがだったでしょうか?

財務会計の目的は、

  1. 日々の業務で発生する、会計取引(お金に関連する取引)を適切に記録・管理することで業務をスムーズに回す
  2. 1年間の会計取引の集大成を、決算書類(貸借対照表、損益計算書)という形で利害関係者に公開

この2ステップにわかれるということが理解いただけたと思います。

SAPでは主に財務会計(FI)モジュールの機能を使って、会社の会計業務、決算処理をサポートしていきます。

次の章では、財務会計(FI)モジュールがどのような機能なのかということについて、説明していきたいと思います。

管理領域を設定しよう

本章では、実際にSAPで管理領域を設定する手順(カスタマイズ)を説明していきます。

本章のゴール

管理領域を作成し、会社コードとの紐付けができていること

手順

1. 管理領域作成

はじめに、管理領域を作成します。

まず、コマンドフィールドに、T-code:SPROを入力します。

SAP Reference IMG(SAP完全版IMG)を選択します。

以下のパスをたどり、メニューを選択します。

企業構造 -> 定義 -> 管理会計 -> 更新: 管理領域

続いて出てくるポップアップ画面では、「管理領域のコピー、削除、チェック」を選択します。

標準の管理領域「JP01」をコピーし、以下の情報を入力します。

名称

  • 任意の名称を設定(英数字4桁)

通常、管理領域は、割り当てたい会社コードと同じコードを設定します。

今回は、会社コード「ZZ01」に対して同じ「ZZ01」のコードで管理領域を作成します。

割当管理

  • CoCd -> 管理領域:「 1 管理領域と会社コードが同一 」を選択

通貨設定

  • 通貨タイプ :「10」 (会社コード通貨)を選択
  • 通貨コード:「JPY」を選択

その他設定

  • 勘定コード表:使用している勘定コード表(YCOAなど)を選択
  • 会計年度バリアント:使用している会計期間に合わせて選択(K4、V3など)

K4:暦月(1〜12月)+ 4特別会計期間
V3:4〜3月 + 4特別会計期間

  • F4で管理領域非表示:チェックを外す

原価センタ権限階層の設定

  • 全てブランクに設定

上記設定が全て完了後、「保存」ボタンをクリックし、作成した管理領域を保存します。

2. 会社コードと管理領域を割り当てる

カスタマイズツリーのメニュー画面に戻り、以下のパスにアクセスします。

企業構造 -> 割当 -> 管理会計 -> 管理領域に対する会社コードの割当

先ほど作成した管理領域「ZZ01」にチェックを入れた状態で、サイドバーの「会社コードの割当」をクリックします。

遷移した画面で左上の「新規エントリ」をクリックし、以下の情報を入力します。

割り当てられた会社コード

  • 会社:管理領域を割り当てたい会社コード

入力後、「保存」ボタンをクリックして作業完了となります。

SAPとは

SAP Wisdomの学習コースにアクセスいただき、ありがとうございます。

SAP Wisdomでは、SAP初心者・初学者の人でも読みやすいように、
わかりやすい言葉で丁寧に説明していきます。

さて、前回の記事では、前提知識であるERPについて解説しました。

この記事では、本題の「SAP」に焦点を当て、SAPの特徴について解説していきたいと思います。

SAP業界に興味を持つまでは、SAPという言葉すら聞いたことがなかった人も多いと思います。

しかし、SAPは世界中に大きな影響力を持っているシステムだということを、ここで学んでいただければと思います。

SAPとは?

SAPは、ドイツ発祥のソフトウェア会社である、SAP社が提供しているERP(業務システム)の名称です。

SAPの中でもいくつか種類がありますが、最も有名なのは、SAP S/4HANAというバージョンのシステムです。

SAP社は、このS/4HANAをはじめとしたERPシステムを世界中の大企業向けに提供しており、2021年時点で、約440,000社が、このS/4HANAを導入しています。

また、Forbes Global 2000という、世界の会社上位2000社のリストにランクインする会社のうち、91%がSAPを利用しているというデータがあります。

Forbes Global 2000にランクインしている会社の一例

・Apple
・Microsoft
・トヨタ自動車
・テンセント
・ソフトバンク
・Facebook

Forbes Global 2000 2021

つまり、それだけ世界的に有名な会社から人気を集めており、それらの会社の業務を根本から支えているのが、SAPというシステムなのです。

SAPの特徴3つ

では、なぜこれほどまでに、世界中の企業でSAPが使われているのでしょうか。

ここからは、SAPの主な特徴について説明していきます。

豊富な機能(モジュール)

ERPは、各部門で使うシステムを統合したパッケージシステムです。

そのERPの中で、各部門ごとのシステムにあたる機能(生産管理・販売管理など)のことを、モジュールと呼びます。

SAPは、その機能(モジュール)の数が、他のERP製品と比較して圧倒的に豊富であることが特徴です。

そのため、多種多様なモジュールを使って、あらゆるあらゆる業務にフィットさせることができ、その結果、業務を効率化することができるのです。

グローバルスタンダード

海外に支社や工場を持っている大企業にとって、どの国・どの地域においても、同じERPを使えるかどうかは、導入を検討する際の重要なポイントになります。

SAPは、世界中の国の言語・通貨・法律に対応しているため、どこでも同じようにSAPを導入することができます。

また、各拠点の業務をSAP標準に合わせることで、海外展開もしやすく、運用コストが下げられるというメリットもあります。

カスタマイズ機能

SAPが世界中の会社で使われているのは「どのような業種、商慣習にもフィットできる仕組み」があるからです。

業種やビジネスモデルが変われば、業務内容も変わってきます。

例えば「毎日お店でパンを焼いて直接売っている、小売業のA社」と「工場で焼いたパンをスーパーに出荷している、卸売業のB社」を比較してみましょう。

2社とも同じ「パンを作って売る」会社ですが、以下の図のように、業務の流れは大きく違ってきます。

これに対し、SAPはカスタマイズと呼ばれる機能を使って、様々な業種に対応できるようにしています。

カスタマイズとは、SAPの中で自由に設定できる、パラメータのことです。

・・・と説明されてもよくわからないと思うので、イメージしやすいよう、家を例に考えてみましょう。

建売の住宅を買うとき、立地・間取り・外観などはあらかじめ決まっている( = デフォルト)ため、変更することができません。

しかし、内装や設備(キッチンのデザイン、エアコンの数、床暖房をつけるか、コンセントの位置など)は、購入者の好みに合わせて、自由に変更することができます( = オプション)。

SAPも同じように、システムの基本的な構成・機能を変えることはできませんが、「どのような組織構造を設定するか」「どの勘定、通貨で伝票を作成するか」などは各会社に合わせて細かく設定することができます。

このように、各会社の業務に合わせたカスタマイズ(オプション)を設定することで、さまざまな業種にも対応することができるように設計されているのです。

カスタマイズは、ここではとても紹介しきれないほど種類が多いため、細かい説明は割愛します。

ここでは、「SAPはパッケージシステムだけど、細かいところは柔軟に変更できるんだな」とだけ理解していただければ大丈夫です。

まとめ

ここまで、SAPの大きな特徴を紹介してきました。

まとめると、SAPが世界中の会社で導入される理由は以下の通りです。

  • 豊富な機能がある = 様々な部門の業務に対応できる
  • グローバルスタンダード = 様々な国、地域(海外展開)に対応できる
  • カスタマイズ機能 = 様々な業種、ビジネスモデル、商慣習に対応できる

SAPがどのくらいすごいシステムなのか、影響力があるのか、少しイメージしていただけたでしょうか?

次の記事では、そのSAPを導入するコンサルタントの役割や価値について解説しこうと思います。

ERPとは

SAP Wisdomの学習コースにアクセスいただき、ありがとうございます。

SAP Wisdomでは、SAP初心者・初学者の人でも読みやすいように、
わかりやすい言葉で丁寧に説明していきます。

この記事では、

  • SAPの前提知識である「ERP」とは?
  • 会社にSAP(ERP)を導入した場合、何が変わるのか?

について説明していきたいと思います。

ERPとは?

SAPについて説明する前に、まずは前提知識である、ERPという用語について学習しましょう。

ERP = 企業資源計画

ERPは、「Enterprise Resource Planning」の略で、「企業資源計画」と訳すことができます。

聞きなれない言葉だと思いますが、簡単にいってしまえば、

経営に必要な「ヒト・モノ・カネ」に関する情報をひとまとめにして管理することで、「スピーディーで的確な経営判断を行えるようにする」

といった考え方のことを意味します。

この考え方は、1990年代に海外で生まれて以降、徐々に経営管理手法のスタンダードとして世界に浸透するようになりました。

ERP = パッケージソフト

しかし近年では、ERPのことを、会計管理・販売管理・生産管理・在庫管理などの

「業務で使われるあらゆるシステムを統合したパッケージソフト」

のことを指します。

これから、みなさんと一緒に学習するSAPも、ERP製品のひとつです。

ERPは、ひとことでいうと「会社の業務を効率化するために導入されるソフト(システム)」と説明することができます。

どのようにして業務を効率化するのか、

「ERPを導入する前後」

を比較しながら、学習していきましょう。

ERPを導入する前の会社システム

まずは、ERPを導入する前の会社システムを見ていきましょう。

ERPが導入される以前は、各部門(経理部、営業部など)がバラバラでシステムを保有し、運用する方法が一般的でした。

しかし、この方法では以下のような問題点があります。

問題点1. 他の部門の情報がリアルタイムで確認できない

まずひとつ目の問題は「他の部門の情報がリアルタイムで確認できない」という点です。

どういうことか、商品販売に関連する業務プロセスを例に考えてみましょう。

商品販売は、ざっくり以下の3つの業務に分けることができます。

  1. 注文を受ける(受注)
  2. 商品を届ける(出荷)
  3. 請求書を送り、お金をもらう(請求)

それぞれの業務内容については、なんとなく理解できると思いますが、

ここのポイントは「1〜3の業務は、それぞれ違う部門で行われている」ということです。

1は営業部門の仕事ですし、2は工場などの物流部門が行います。また、3はお金に関することなので、経理部門が担当する業務です。

このように、会社の業務は、ひとつの部門だけで完結することはほとんどありません。

各部門ごとにシステムを持っていると、他の部門で管理している情報が見えないため、常に部門間での確認・連絡が必要になってしまいます。

その結果、確認のためのタイムロスや、無駄な業務が発生してしまうことになります。

問題点2. 各システムで、同じ情報を何度も登録する必要がある

各部門のシステムには、それぞれの業務を遂行するために必要な情報を登録しておく必要があります。

先ほどの商品販売業務に関連して、それぞれのシステムで管理している情報を考えてみましょう。

各部門(システム)で管理している情報の図を入れる

  • 営業部門(販売管理システム):どんな注文があったか、いくら債権が残っているか
  • 物流部門(在庫管理システム):商品をいくつ入荷・出荷したか、いくつ在庫が残っているか
  • 経理部門(会計管理システム):いくらお金が残っているか、いくら債権が残っているか

ここで注目してほしいのは、販売管理システムと会計管理システムにある「いくら債権が残っているか」という情報です。

「債権」とは、簡単にいうと、お金をもらう権利のことです。

取引先に対して100円の商品を売った場合、100円分の債権が発生することになります。また、代金を払ってもらったときに債権はなくなります。

債権については会計(SAP FI)コースできちんと解説するので、ここでは「ふ〜ん」くらいで流し読みしてもらって大丈夫です。

経理部は、それぞれの取引先に請求し、代金を回収する必要があるため、取引先ごとの債権情報を把握しておく必要があります。

一方、営業部も同じように債権情報を把握する必要があります。

なぜなら、きちんとお金を払ってくれない取引先には、追加で商品を売らないように管理する必要があるからです。

このように、目的は違えど、別々の部署で同じ情報を管理する必要があることがわかります。

このとき、各部門ごとにシステムを保有していると、それぞれのシステムに全く同じ情報を入力しなければいけません。これでは同じことを2回3回も繰り返すことになり、非効率ですよね。

また、各部署間でデータの受け渡し(会社によっては紙に印刷したり、USBに入れたり)する手間も発生し、入力ミスも発生しやすくなるなどのデメリットもあります。

ERPを導入した後の会社システム

そこで登場するのが、本章のテーマであるERPです。

ERPの特徴は、各システムを統合することで、全部門・全システムのデータが一元管理できるようになることです。

具体的にいうと、まず各部門で登録したデータ(情報)が他の部署でもすぐに見られるようになるため、部門間の確認や連絡業務が不要になります。

また、各部署でデータを共有しているため、部署ごとに、同じ情報を何度も登録する必要がなくなります。

このように、ERPを導入することで、会社の業務全体を大幅に効率化することができます。

近年は、世界の大企業の大半が、SAPをはじめとしたERPを導入しており、ERPは世界標準のシステムになっているといえるでしょう。

はじめに

SAP Wisdomの学習コースにアクセスいただき、ありがとうございます。

SAP Wisdomでは、SAP初心者・初学者の人でも読みやすいように、
SAPについて「できるだけわかりやすい言葉で」「丁寧に」説明していきます。

この記事では、学習コースの第一歩目として、

  • SAPとはどんなシステムなのか
  • SAPの学習がなぜ難しいのか
  • SAP Wisdomってなに?

という点について、説明していきます。

SAPとは?

SAPとは、全世界約25,000社に導入されている、ドイツ発祥の基幹系システム(ERP)です。

基幹系システム(ERP)とは、経理担当が使う会計システム・営業担当が使う販売システム・製造担当が使う生産管理システムなど、会社業務で使用するあらゆるシステムをパッケージ化したものです。

SAPは

  • 三井物産
  • YONEX
  • 凸版印刷
  • スノーピーク
  • NTTデータ

のような日本の大手企業にも多数導入されており、世界で最も有名なパッケージシステムであるといえます。

SAPの導入などに関わるコンサルタントは、世の中からのニーズが高まり続けており、将来性が非常に高い職業であると言われています。

SAPの習得が難しい理由

しかし、SAPは通常のプログラミング言語と比較し、習得がかなり難しいといわれています。

SAPの習得が難しい理由は、簡単にいうと、

何を・どのように学習すれば良いかわからないからです。

プログラミングは、スクール(Tech Campなど)や、学習サービス(Progate・ドットインストールなど)が豊富に揃っており、初心者からでも、ある程度のレベルまでは自力で到達することができます。

もちろん、これらを受けたからといってすぐに一人前の技術者になれるわけではありません。

しかし、基礎が身につけば、自分で簡単なサービスを開発したりなど、独学で次のステップに進むこともできるでしょう。

一方、SAPは参考になる本やノウハウが少なく、そもそも何を勉強すれば良いのかが、自分では全くわかりません。

また、無料で使える学習環境がないため「どんなものか、試しに触ってみる」ということもできません。

そして極めつけは、学習教材として使えそうなのが、SAP社から提供されている公式トレーニングだけということです。

トレーニングの種類にもよりますが、体系的な内容を学ぼうとすると、

SAPアカデミーという、値段が100万円以上もする講座を受講する必要があります。

個人では、とても支払える金額ではありませんよね。

SAP業界は非常に有望な業界ではあるのですが、このように、独学で参入できるような環境ではなかったため、常に人手不足が叫ばれている状態なのです。

SAP Wisdomとは?

SAP Wisdom(このサイト)は、「誰でもSAP業界にチャレンジできる環境を作ること」をコンセプトに作られた、オンライン学習サービスです。

SAP Wisdomの特徴は、初心者でも学習を進められるよう、以下の点に配慮して作成されています。

業務とSAPのつながりが学べる

SAPは、会社のあらゆる業務を効率化するために作られたシステムです。

そのため、SAPを理解するためには

まず会社業務を理解し、その上で、業務とSAPのつながりを理解する

必要があります。

SAP Wisdomでは、単にSAPの機能だけではなく、業務とSAPのつながりについても、重点的に教えていきます。

明快なロードマップ

SAPについて調べても、

「結局、SAPコンサルタントになるには何を勉強すれば良いの?」

という疑問が解消されていない人は多いと思います。

SAPの個別知識について、解説している記事はネットでもありますが、上の疑問に応えられている学習サイトはまだありません。

SAP Wisdomは、コンサルタントに必要な知識をまとめて、学習コースに盛り込んでいるため、

コースに沿って勉強していけば、必要な知識を網羅的に身につけることができるようになっています。

簡潔でわかりやすい

SAPの学習では、とにかく専門用語がたくさん登場します。

例えば、以下の用語を見てください。

  • セグメント
  • 管理領域
  • 利益センタ
  • 原価センタ
  • プラント
  • 会社コード

これらは、会社の組織構造を学ぶときに出てくるSAP用語ですが、

これらの用語をただ並べられて「利益センタと原価センタが〜〜」などと説明されても、ピンとこないですよね。

何かを学ぶときに重要なのは、学ぶことのイメージができるようになることです。

SAP Wisdomでは、難しい用語はできるだけ使わず、SAP初心者にもわかりやすいように説明していきます。

理論+実践

どのような知識も、受け身で説明されるだけでは、本当に理解できたとはいえません。

SAP Wisdomでは、実際にSAPを操作したり、カスタマイズ(SAPのウラ側の設定)を動かすなど、各コースの終わりに「実践編」のパートを設けています。

そのため、各コースの内容を理解できているか、都度確認しながら学習を進めることができます。

SAP基礎コース

本コースでは、SAPを学習するための基本知識について、学習することができます。

1. SAPってなに?

2. 会社業務とSAPのつながりを理解しよう

  • 会社業務の全体像
  • SAPモジュールとは
  • 財務会計(FI)
  • 管理会計(CO)
  • 販売管理(SD)
  • 在庫・購買管理(MM)
  • 生産管理(PP)

3. SAPの基本操作を覚えよう

Appendix. SAPの学習環境を設定しよう

勘定コードマスタを理解しよう

はじめに

前章では、勘定コードマスタが、FIモジュールに必要不可欠な設定であることを説明しました。

勘定コードマスタには様々な情報を設定することができますが、
それらは「勘定コード表」単位で設定するものと、「会社コード」単位で設定するものに分けることができます。

本章では、それぞれの内容について理解し、正しく勘定コードの設定を行えるようにしましょう。

本章のゴール

  • 勘定コードマスタの構造を理解する
  • 勘定コード表単位、会社コード単位の情報について、どのようなものがあるか理解する

勘定コードマスタの構造

勘定コードマスタは、以下のような構造になっています。

冒頭にて説明した通り、勘定コードマスタは勘定コード表単位の設定・会社コード単位の設定に分けることができます(これらは「勘定コード表レベル」「会社コードレベル」と呼ばれています)。

勘定コード表レベル

勘定コードの基本的な情報は、「勘定コード表」という構造の中に定義していきます。
これを「勘定コード表レベル」の情報と呼びます。

勘定コード表レベルの情報には、以下のような項目があります(一例です)。

  • 勘定グループ:勘定科目を束ねる任意のグループ(勘定グループ単位でレポートなどを参照できる)
  • 勘定タイプ:「B/S勘定」「原価・費用」などの、勘定の性質
  • テキスト:勘定科目の名称

また、勘定コード表レベルの情報は、テーブル「SKA1」に格納されます。

会社コードレベル

会社ごとに細かく使い分けられる情報を「会社コードレベルの情報」と呼びます。

会社コードレベルの情報には、以下のような項目があります(一例です)。

  • 項目ステータスグループ:会計伝票を登録する際に表示する画面項目の設定
  • 通貨:伝票登録時に使用する通貨(デフォルト設定)
  • 統制勘定:売掛金元帳、買掛金元帳など、どの補助元帳から登録できる勘定かの定義

また、勘定コード表レベルの情報は、テーブル「SKB1」に格納されます。

勘定コード表と会社コードの割り当て

勘定コードマスタの登録を行う前に、あらかじめ、各会社コードを、どこかの勘定コード表に割り当てておく必要があります。

この割り当てを実施することで「どの勘定コード表をどの会社が利用するのか」を定義することになります。

なぜこれを実施するかというと、
各会社ごとに使う勘定コード表がバラバラだった場合、グループ会社や子会社を含めた連結決算が行えなくなってしまうからです。

図の例では、会社コード:JP01 + JP02では連結決算を行えますが、US01も含めて連結決算を行うことはできません。

このように、ひとつの勘定コード表を複数の会社で共有することは可能ですが、ひとつの会社で複数の勘定コード表を利用することはできません。(勘定コード表:会社コード=1 : N の関係)

勘定コード表と会社コードのカスタマイズは、別の章で説明するため、ここでは割愛します。

会社コードを作成しよう

本章では、実際にSAPで会社コードを作成する手順を説明していきます。

本章のゴール

カスタマイズ画面で、会社コードが作成できること

会社コード作成手順

まず、コマンドフィールドに、T-code:SPROを入力します。

SAP 会社コード カスタマイズ

②SAP Reference IMG(SAP完全版IMG)を選択します。

SAP 会社コード カスタマイズ

以下のパスをたどり、メニューを選択します。

企業構造 -> 定義 -> 財務会計 -> 編集/コピー/削除/チェック:会社コード

SAP 会社コード カスタマイズ

「会社コードデータ編集」を選択します。

SAP 会社コード カスタマイズ

ゼロベースから会社コードを新規作成することも可能ですが、今回はSAPが標準で用意している日本用会社コードをコピーして使用します。

会社コード「JP01」を選択した状態で、別名コピー(F6)をクリックします。

SAP 会社コード カスタマイズ

次の画面で、会社コード情報の編集を行います。以下の情報を入力します。

  • 会社コード:ZZ01
  • 会社名:任意
  • 市区町村:任意
  • 国:JP
  • 通貨:JPY
  • 言語:JA
SAP 会社コード カスタマイズ

入力が完了したら、Enterを押下します。

アドレス編集画面に遷移したら、以下の情報を入力します。

  • 名称:任意の名称
  • 国:JP
  • 上記以外:任意の内容を入力(空欄でも可)

入力が完了したらEnterボタンを押下します。

SAP 会社コード カスタマイズ

会社コードZZ01が作成されていることを確認し、保存(Ctrl + S)ボタンを押下します。

SAP 会社コード カスタマイズ

どの移送番号に紐付けるかどうかを確認されます。任意の移送を作成(選択)します。

SAP 会社コード カスタマイズ

※ 移送番号の作成方法がわからない場合は、こちらの章を参考にしてください。

これで、会社コードZZ01を作成することができました。本章のトレーニングはこれで完了です。

SAP 会社コード カスタマイズ

勘定コードを理解しよう

はじめに

本章では、FIの重要知識である勘定コードについて説明していきます。

FIモジュールの目的は、業務で発生する仕訳を計上し、正確な財務諸表を作成することにありますが、そのために設定する必要があるのが、勘定コードです。

勘定コードは、FIコンサルタントを目指す方であれば、必須知識となるので、必ず覚えるようにしてください。

本章のゴール

勘定コードの概要について理解できるようになること

勘定コードとは

勘定コードは、財務諸表(貸借対照表・損益計算書)を構成するすべての勘定科目を、コード化したものです。

例えば、業務で以下のような仕訳を計上するとき、

光熱費 / 当座預金 3,000

SAPには「光熱費」「当座預金」という勘定科目のそれぞれのコードを、あらかじめマスタに登録しておく必要があります。
このマスタを、勘定コードマスタ(勘定科目マスタ)といいます。

SAPを導入する際は、業務でどのような勘定科目を使用するのかを洗い出し、すべて、勘定コードマスタにコードを登録しておく必要があります。