SAP Wisdomの学習コースにアクセスいただき、ありがとうございます。
SAP Wisdomでは、SAP初心者・初学者の人でも読みやすいように、
わかりやすい言葉で・丁寧に説明していきます。
この記事では、
- SAPの前提知識である「ERP」とは?
- 会社にSAP(ERP)を導入した場合、何が変わるのか?
について説明していきたいと思います。
ERPとは?
SAPについて説明する前に、まずは前提知識である、ERPという用語について学習しましょう。
ERP = 企業資源計画
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ERPは、「Enterprise Resource Planning」の略で、「企業資源計画」と訳すことができます。
聞きなれない言葉だと思いますが、簡単にいってしまえば、
経営に必要な「ヒト・モノ・カネ」に関する情報をひとまとめにして管理することで、「スピーディーで的確な経営判断を行えるようにする」
といった考え方のことを意味します。
この考え方は、1990年代に海外で生まれて以降、徐々に経営管理手法のスタンダードとして世界に浸透するようになりました。
ERP = パッケージソフト
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しかし近年では、ERPのことを、会計管理・販売管理・生産管理・在庫管理などの
「業務で使われるあらゆるシステムを統合したパッケージソフト」
のことを指します。
これから、みなさんと一緒に学習するSAPも、ERP製品のひとつです。
ERPは、ひとことでいうと「会社の業務を効率化するために導入されるソフト(システム)」と説明することができます。
どのようにして業務を効率化するのか、
「ERPを導入する前後」
を比較しながら、学習していきましょう。
ERPを導入する前の会社システム

まずは、ERPを導入する前の会社システムを見ていきましょう。
ERPが導入される以前は、各部門(経理部、営業部など)がバラバラでシステムを保有し、運用する方法が一般的でした。
しかし、この方法では以下のような問題点があります。
問題点1. 他の部門の情報がリアルタイムで確認できない
まずひとつ目の問題は「他の部門の情報がリアルタイムで確認できない」という点です。
どういうことか、商品販売に関連する業務プロセスを例に考えてみましょう。

商品販売は、ざっくり以下の3つの業務に分けることができます。
- 注文を受ける(受注)
- 商品を届ける(出荷)
- 請求書を送り、お金をもらう(請求)
それぞれの業務内容については、なんとなく理解できると思いますが、
ここのポイントは「1〜3の業務は、それぞれ違う部門で行われている」ということです。

1は営業部門の仕事ですし、2は工場などの物流部門が行います。また、3はお金に関することなので、経理部門が担当する業務です。
このように、会社の業務は、ひとつの部門だけで完結することはほとんどありません。
各部門ごとにシステムを持っていると、他の部門で管理している情報が見えないため、常に部門間での確認・連絡が必要になってしまいます。
その結果、確認のためのタイムロスや、無駄な業務が発生してしまうことになります。
問題点2. 各システムで、同じ情報を何度も登録する必要がある
各部門のシステムには、それぞれの業務を遂行するために必要な情報を登録しておく必要があります。
先ほどの商品販売業務に関連して、それぞれのシステムで管理している情報を考えてみましょう。
各部門(システム)で管理している情報の図を入れる
- 営業部門(販売管理システム):どんな注文があったか、いくら債権が残っているか
- 物流部門(在庫管理システム):商品をいくつ入荷・出荷したか、いくつ在庫が残っているか
- 経理部門(会計管理システム):いくらお金が残っているか、いくら債権が残っているか
ここで注目してほしいのは、販売管理システムと会計管理システムにある「いくら債権が残っているか」という情報です。
「債権」とは、簡単にいうと、お金をもらう権利のことです。
取引先に対して100円の商品を売った場合、100円分の債権が発生することになります。また、代金を払ってもらったときに債権はなくなります。債権については会計(SAP FI)コースできちんと解説するので、ここでは「ふ〜ん」くらいで流し読みしてもらって大丈夫です。
経理部は、それぞれの取引先に請求し、代金を回収する必要があるため、取引先ごとの債権情報を把握しておく必要があります。
一方、営業部も同じように債権情報を把握する必要があります。
なぜなら、きちんとお金を払ってくれない取引先には、追加で商品を売らないように管理する必要があるからです。
このように、目的は違えど、別々の部署で同じ情報を管理する必要があることがわかります。
このとき、各部門ごとにシステムを保有していると、それぞれのシステムに全く同じ情報を入力しなければいけません。これでは同じことを2回3回も繰り返すことになり、非効率ですよね。
また、各部署間でデータの受け渡し(会社によっては紙に印刷したり、USBに入れたり)する手間も発生し、入力ミスも発生しやすくなるなどのデメリットもあります。
ERPを導入した後の会社システム
そこで登場するのが、本章のテーマであるERPです。
ERPの特徴は、各システムを統合することで、全部門・全システムのデータが一元管理できるようになることです。
具体的にいうと、まず各部門で登録したデータ(情報)が他の部署でもすぐに見られるようになるため、部門間の確認や連絡業務が不要になります。
また、各部署でデータを共有しているため、部署ごとに、同じ情報を何度も登録する必要がなくなります。
このように、ERPを導入することで、会社の業務全体を大幅に効率化することができます。
近年は、世界の大企業の大半が、SAPをはじめとしたERPを導入しており、ERPは世界標準のシステムになっているといえるでしょう。