SAP Wisdomの学習コースにアクセスいただき、ありがとうございます。
SAP Wisdomでは、SAP初心者・初学者の人でも読みやすいように、
わかりやすい言葉で・丁寧に説明していきます。
さて、前回の記事では、前提知識であるERPについて解説しました。
この記事では、本題の「SAP」に焦点を当て、SAPの特徴について解説していきたいと思います。
SAP業界に興味を持つまでは、SAPという言葉すら聞いたことがなかった人も多いと思います。
しかし、SAPは世界中に大きな影響力を持っているシステムだということを、ここで学んでいただければと思います。
SAPとは?
SAPは、ドイツ発祥のソフトウェア会社である、SAP社が提供しているERP(業務システム)の名称です。
SAPの中でもいくつか種類がありますが、最も有名なのは、SAP S/4HANAというバージョンのシステムです。
SAP社は、このS/4HANAをはじめとしたERPシステムを世界中の大企業向けに提供しており、2021年時点で、約440,000社が、このS/4HANAを導入しています。
また、Forbes Global 2000という、世界の会社上位2000社のリストにランクインする会社のうち、91%がSAPを利用しているというデータがあります。
Forbes Global 2000にランクインしている会社の一例
・Apple
Forbes Global 2000 2021
・Microsoft
・トヨタ自動車
・テンセント
・ソフトバンク
つまり、それだけ世界的に有名な会社から人気を集めており、それらの会社の業務を根本から支えているのが、SAPというシステムなのです。
SAPの特徴3つ
では、なぜこれほどまでに、世界中の企業でSAPが使われているのでしょうか。
ここからは、SAPの主な特徴について説明していきます。
豊富な機能(モジュール)
ERPは、各部門で使うシステムを統合したパッケージシステムです。
そのERPの中で、各部門ごとのシステムにあたる機能(生産管理・販売管理など)のことを、モジュールと呼びます。
SAPは、その機能(モジュール)の数が、他のERP製品と比較して圧倒的に豊富であることが特徴です。

そのため、多種多様なモジュールを使って、あらゆるあらゆる業務にフィットさせることができ、その結果、業務を効率化することができるのです。
グローバルスタンダード
海外に支社や工場を持っている大企業にとって、どの国・どの地域においても、同じERPを使えるかどうかは、導入を検討する際の重要なポイントになります。
SAPは、世界中の国の言語・通貨・法律に対応しているため、どこでも同じようにSAPを導入することができます。
また、各拠点の業務をSAP標準に合わせることで、海外展開もしやすく、運用コストが下げられるというメリットもあります。
カスタマイズ機能
SAPが世界中の会社で使われているのは「どのような業種、商慣習にもフィットできる仕組み」があるからです。
業種やビジネスモデルが変われば、業務内容も変わってきます。
例えば「毎日お店でパンを焼いて直接売っている、小売業のA社」と「工場で焼いたパンをスーパーに出荷している、卸売業のB社」を比較してみましょう。
2社とも同じ「パンを作って売る」会社ですが、以下の図のように、業務の流れは大きく違ってきます。

これに対し、SAPはカスタマイズと呼ばれる機能を使って、様々な業種に対応できるようにしています。
カスタマイズとは、SAPの中で自由に設定できる、パラメータのことです。
・・・と説明されてもよくわからないと思うので、イメージしやすいよう、家を例に考えてみましょう。
建売の住宅を買うとき、立地・間取り・外観などはあらかじめ決まっている( = デフォルト)ため、変更することができません。
しかし、内装や設備(キッチンのデザイン、エアコンの数、床暖房をつけるか、コンセントの位置など)は、購入者の好みに合わせて、自由に変更することができます( = オプション)。
SAPも同じように、システムの基本的な構成・機能を変えることはできませんが、「どのような組織構造を設定するか」「どの勘定、通貨で伝票を作成するか」などは各会社に合わせて細かく設定することができます。

このように、各会社の業務に合わせたカスタマイズ(オプション)を設定することで、さまざまな業種にも対応することができるように設計されているのです。
カスタマイズは、ここではとても紹介しきれないほど種類が多いため、細かい説明は割愛します。
ここでは、「SAPはパッケージシステムだけど、細かいところは柔軟に変更できるんだな」とだけ理解していただければ大丈夫です。
まとめ
ここまで、SAPの大きな特徴を紹介してきました。
まとめると、SAPが世界中の会社で導入される理由は以下の通りです。
- 豊富な機能がある = 様々な部門の業務に対応できる
- グローバルスタンダード = 様々な国、地域(海外展開)に対応できる
- カスタマイズ機能 = 様々な業種、ビジネスモデル、商慣習に対応できる
SAPがどのくらいすごいシステムなのか、影響力があるのか、少しイメージしていただけたでしょうか?
次の記事では、そのSAPを導入するコンサルタントの役割や価値について解説しこうと思います。